直感の不思議

先日、毎日新聞の地域欄におもしろい記事がありました。

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地表ピッタリにロープをはわせて地球(半径6400キロ)を
一周させたときと比べて、地表から1メートルの高さの
ところで一周させた場合はどれぐらい余計にロープの長さが
必要か?この問いに計算せずに「直感」で答えてください。
※円周率(π)は3として。
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どうでしょう?僕は数キロかなぁ、と「直感」的に思いました。
周りの人にも聞いてみましたが、だいたい数十キロから数キロ
という答えが多かったんですが…




結論から言うと答えは6メートルなんです。短っ!ですよねぇ。

地表ピッタリ 2πr    =6×r    =6r
地表+1M  2π(r+1)=6×(r+1)=6r+6

なるほどねぇ。しかも地球だろうが月だろうがサッカーボール
だろうが表面から1メートルの高さの場合全て同じ6メートル
になる、と。なんか不思議な感じがしますよねぇ。
それだけ数学的直感があやふやというか怪しいってことなのか。


僕は人間の知覚に興味があって自分の制作のテーマにしてたり
するのでとてもこの記事がおもしろかったんです。

例えば視覚や触覚で形や空間を測るとき経験値が浅ければ
惜しいどころかとんでもなく飛躍した答えが導かれたりする。
逆に経験値が高ければ連続して正確にモノを測れたりする。
寿司屋の板前がシャリを同じグラムだけ掴んで握るとか。

感覚的に捉える空間や形と、理論的・数学的に掘り下げて知る
空間や形の差異が全然違っていたり意図せずまったく同じだったり
するのがとても不思議だなぁと思うんですね。

この記事の結びに2人の数学者の言葉が引用されていて
一見相対する言葉ながら記事の著者同様「言い得て妙」だと思いました。

「数学は、われわれ人間の感覚の不完全さを補うために
 呼び起こされた人間精神の力である」フーリエ

「非数学的な直感が、数学の研究に
 重要な役割を演じている」シュール