無駄のない世界

新聞の拾い読みだけど、政府の事業仕分けに対して
ノーベル賞と数学界最高のフィールズ賞の受賞者6人が
「緊急声明」を発表したそうな。

要するところ科学技術関連事業に対する予算縮減に
強い憤りを持って異議申し立てしたのだという。

予算縮減のあおりを食らう施設として挙げられているのが
ハワイにある国立天文台すばる望遠鏡や、世界で初めて
素粒子ニュートリノを観測したカミオカンデなどなどなど。


スポーツ予算でもJOC強化費の縮減が決まったらしい。
「オリンピックは参加することに意義があるので選手強化に
助成する意義はないのでは?」とか「たくさん助成しても
メダルにならない競技もある」といった声も仕分け人から
あったらしい。これはさすがに記事に目を疑ってしまった。


科学技術、スポーツ、文化学術など対費用効果のあいまいな
もの、言い換えれば無駄を生みやすい分野は真っ先に着手される
であろうことは薄々気づいていたけれど、意外なほど取り上げられ方
が小さく感じる。新聞ではある程度取り上げられていたけれど
テレビやネットではそこまででもないように思う。

たしかにあいまいな分、ずさんになれるからお金が湯水のように
使われている現実はあると思う。あるとは思うのだけれど・・・


仕事がない、お金がない、景気が良くないという今の社会の現実は
ほとんどの人が感じているように僕も感じるけれど、このやり方は
将来性が感じられない。応急処置はあくまで応急で本来の治療に
繋がるものでないと、逆に患部が悪化したり治癒が遅れることは
政治や医療の素人でも想像はつきそうな気がする。

人やものや環境を育てるのはお金と労力がとてもかかる。
そしてそれは結果ではなくて過程だから目にみえにくい。
結果としてノーベル賞だったりメダルだったりするのだから。



無駄を省く、ということは経済的観点においては重要なのだろう。
ただ経済的な無駄の無駄がすべての事柄に置き換えられるのは
どうなんやろうかと。

僕は素人なりに宇宙の不思議を知りたいし、世界で一番速く
走る人を見て面白がったり、本を読んだり、美術館に行ったり
音楽を聴いたり、映画を観て、とりとめもないことを考えて
そのことを誰かとああでもないこうでもないと話したいと思う。

そもそも無駄のない世界っておもしろくも何ともないって思うから。