ゆれる

ゆれる [DVD]

ゆれる [DVD]

都会に出てカメラマンとして成功した弟
田舎に残り家業を継いだうだつがあがらない兄
幼馴染の智恵子と3人で出かけた渓谷で
智恵子が吊り橋から転落死してしまう。
事件か、事故か。

法廷での兄役、香川照之の演技は秀逸。
ただシナリオとして曖昧な部分が結構あり
それをタイトルにかけて(心情的に)ゆれる
というにはいささか消化不良に感じる。

劇中、こうじゃないのか?ああじゃないのか?
という問いかけはあるものの、それに対する
意思表示はなく観る人に委ねられる感じがした。

作品としてこういう考えなんですけど
観たあなたはどう思いますか?的なのは
いいのですが、劇中の役の意思や事実まで
モヤモヤしてると結局何が言いたかったのか
よくわからなくてゆれるというよりこまる。

やっぱり邦画って雰囲気なのかなぁ・・

道 [DVD]

道 [DVD]

フェデリコ・フェリーニ監督の代表作。

旅芸人の粗暴な男と知的障害で純粋な心を
もった娘の切ない人間模様。

人はひとりでは生きてはいけない。
人に救われて人のために生きることの
素晴らしさ、人に振り回され人の
心を考えられない愚かさ、人生は
甘く切なく、素晴らしいが儚い。

「どんな物でも何かの役に立っている。この石ころだって」

極端に思えるかもしれないけれど
どんなものにもどんなことにも
どんなひとにもそれぞれ存在する
意義がある、ということなのだろう。

ジェルソミーナ役のジュリエッタマシーナが
乙羽信子に見えたのは僕だけだろうか?
そしてジュリエッタマシーナはフェリーニ
の奥さんだったらしい。ますます乙羽信子的だ。

E.T.

E.T. (1982年版) [DVD]

E.T. (1982年版) [DVD]

久々に観ました。初めて観たのは
小学生の時に映画館で、でした。

宇宙人と地球の子供たちの交流を
描いたSFファンタジーといえば
そうなんだけど、すごく良い。

何が良いかと聞かれたら困るけど
とりあえず涙がこぼれてしまう。

兄弟愛とか家族愛とか(宇宙)人
を思いやる気持ち、あとはETや
キャストの(エリオット、妹役の
D・バリモア)可愛いさったら!
それにJ・ウィリアムスの音楽の
素晴らしさ。

映画のおもしろさや良いところを
詰め込んだ珠玉の一作です。

さよなら零々年代


09年もあと何日かで終わりだけれど、同時に00年代も
終わるんだなぁと改めて思いました。

70年代。75年生まれの僕には、体感した時代ではなく
映画や音楽などで知った「文化」のようなものです。

80年代。幼少期から思春期への端境期でノスタルジック
にさせてくれる白昼夢のような時代。アホやったんですね。

90年代。15歳から24歳の、多感な時期という御多分
に漏れず、やっといろいろ考えたり悩んだりし始めた頃で
それまでの自分のアホさ加減が恨めしいのにそれでもなお
そのアホさゆえにそのアホさ加減から脱却出来ずに呻いて
いたという切ない青春の悪循環。

それでも今になって思えば、勉強が嫌だとか誰某が好きだ
とか将来これでやっていけるんかとか仕事どうしましょう
といったありふれていて現実的で許される範囲と思われる
ことなんだけれども。

当時(99年)好きだった(今も好きだけど)歌の中に
「砂漠の荒野に倒れても、長い鎖に繋がれても
        明日は明日の風の中を飛ぼうと決めた」 
という歌詞があって、そういうのに容易く感化された僕は
大学卒業という割と大きな転換期に緩く、しかしざっくり
と大きく舵を切って社会へ飛び出してしまったのでした。

そして迎えた00年代。ゆるりふらりと泡の祭りのその後
みたいな社会に出てみたもののそんなもみくちゃにされる
こともなく時々携帯が止まったり電気が点かなくなること
はあったけど今日まで何とか過ごすことが出来ました。
砂漠の荒野と長い鎖の間を行ったり来たりの繰り返しで。

総括するほどのことはないのですが、それなりにいろいろ
あったそれぞれの年代だったなぁと思います。ミレニアム
になったり元号変わったり実は世間的には大転換期かも。
政治経済事件世相などなど暇が無いので枚挙しませんが。

10年代はどんな10年になるんでしょう。そんな長期的
には実際想像がつきません。死んでるかもしれませんし。


今年はいろいろありました。気分的には夏なのに秋が来て
秋なのに冬が来て、氷河期到来かと思いきや春が来た、と
いった感じの一年でした。明日は明日の風の中、ですね。


そんな(どんな?)訳で、皆様良いお年をお迎えください。
来年も宜しく御戯れくださいますよう御願い申し上げます。

バーン・アフター・リーディング

バーン・アフター・リーディング [DVD]

バーン・アフター・リーディング [DVD]

ブラピ×G・クルー二ー×マルコヴィッチ競演
コーエン兄弟監督のクライム・コメディ。

一枚のCD-ROMから起こった勘違いに翻弄される
(やや難ありな)人々たちのお話でした。

ほとんど内容らしい内容がありません。
不倫、整形、出会い系に恐喝、殺人、死体遺棄

でも暗いというより黒い。重いというより軽い。
情けなくも可笑しい、悲喜こもごもといった感じ。

ブラピの役が若い。実年齢46歳にして、どう見ても
26、7のバカ造にしか見えないからある意味凄い。

バーン・アフター・リーディング。読んだあとは燃やせ。
観終わったあとは忘れましょう。そんな映画です。

ミラーズ

キーファー・サザーランド主演のホラーサスペンス。

元刑事、暗い過去がある、家族を守る、やや無茶を
する感じがジャック・バウワーとがっつりカブって
います。狙ってそうなっているのでしょうが・・

キリスト教圏じゃない人間には「悪魔」に対する
リアリティが薄いので「悪魔」という悪役キャラ
か得体の知れない怪奇現象の主になりがちかと。

ミラーズ=鏡がお話のモチーフとして登場しますが
小さい頃、鏡に顔をくっつけて鏡に映る反転した
部屋の風景をじっと見ながら「そっちの世界」に
身を置く感覚を味わっていました。危ない子供だ。

そんな訳でエンディングの主人公が陥った状況が
有り得ないけど僕的にリアリティのある恐怖でした。